皮膚科・アレルギー科の主な病気
掻痒性疾患
湿疹(しっしん)
皮膚病の中で最も多い病気が湿疹です。医学的には複数の病気が含まれており、まずは原因の除去に努めます。各々の症状に応じて、ステロイド外用剤、抗アレルギー剤や漢方薬の服用、保湿剤の使用を行います。
かぶれ
何らかの物質が皮膚につくことで、発症するものです。原因の除去につとめ、症状にあわせてステロイド剤の外用、内服を行い、早期に症状を抑え込みます。また乾燥した部分には保湿を行います。
蕁麻疹(じんましん)
皮膚にかゆみを伴う発赤が出たり消えたりします。原因はアレルギー性のものから心因性のものまで幅広く、不明であることも多いです。抗アレルギー剤などの服用で治療します。補助療法として漢方治療も行っています。
アトピー性皮膚炎
医師の指導のもと、正しくステロイド剤を用い皮膚の炎症を早期にコントロールします。
皮膚の乾燥を防ぐための保湿剤と、炎症をおこしにくい様に全身状態を整える漢方治療も併用しています。
特に顔面の赤身が長引く場合は、新しい 免疫抑制剤の塗り薬を用いて症状を緩和します。
乾皮症
潤いを与えるために保湿剤を用い、かゆみには弱いステロイド軟膏を使用します。
感染性疾患
みずむし
真菌検査で真菌を確認します。塗り薬で治療します。爪が混濁・肥厚している爪白癬では内服治療することもあります。
たむし
水虫の原因菌である白癬菌が手足や股間以外に感染を起こした状態です。主に感染が起こる箇所は胸・腹・背中です。感染が体部白癬(たむし)では、体の皮膚に色の変化が生じます。赤くなったり、皮がむけたり、他の部位と比べてがさつきが増したりといった様々な症状があります。見た目だけでは体部白癬かどうかの診断が難しいため、白癬かどうかを確定するには、はがれた皮膚を採取して顕微鏡で観察します。治療には塗り薬を用います。
イボ
ウイルス性いぼでは液体窒素による凍結療法を行っていますが、漢方薬を併用することもあります。触ると広がることがあるためご注意ください。
とびひ
伝染性の疾患で、特に幼児・学童がかかりやすい病気です。患部の消毒と保護を行い、抗生物質の内服と外用を用います。
ヘルペス
ヘルペスのウイルスによっておこり、ピリピリした痛みと水ぶくれが特徴です。口の周りや陰部に出来ることが多く、風邪をひいたときなど、体の抵抗力が弱い時にかかりやすい病気です。抗ウイルス剤を用いて、治療とともに不快な痛みを抑えます。繰り返す場合は予防投与も可能です。
帯状疱疹
水ぼうそうのウイルスが、水ぼうそうが治った後もそのまま神経に潜んでいます。加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると潜んでいたウイルスが再び活性化し帯状疱疹を発症します。抗ウイルス剤と痛みなどの症状を和らげる薬を使用します。50歳以上であれば予防接種も可能です。
虫による疾患
虫刺され
虫の種類にあわせて適切な消毒を行い、外用剤を用います。症状の激しい場合は内服薬も併用します。
刺された跡をひっかくとそこから他の皮膚科疾患を併発する場合がありますので、かゆみ等が強いときは早めに受診しましょう。
しらみ
シラミ症(アタマジラミ)は髪の毛にシラミが寄生することにより発生します。無症状のことも、頭が痒くなることもあります。毛にフケのような白い卵が付着していたり、アタマジラミが動いているのを見つけて気づくことが多いです。床屋さんで見つけていただくこともあります。顕微鏡でシラミの卵や成虫を確認できれば診断できます。治療はスミスリンシャンプーなどの市販のシラミ薬を使用(自費購入)します。
疥癬(かいせん)
疥癬(かいせん)はヒゼンダニという肉眼では見えないダニが皮膚に寄生して、激しいかゆみを起こす病気です。顕微鏡でヒゼンダニを見つけて診断し、ストロメクトールなどの薬で駆除します。ほかの人にうつさないよう注意が必要です。
皮膚付属器の疾患
汗疱(あせも)
汗を原因とする皮疹です。皮膚の中には汗を皮膚の表面まで運ぶ管(汗管)があり、これが汗によって詰まると小さな水ぶくれや赤みが現れます。汗疹になると、刺激を感じやすくなったり痒みを感じたりします。特に治療をしなくても治ることが多いのですが、長引く場合は感染を起こしていることがあります。予防法としてはこまめに汗の処理をすることや極端に暑い環境を避けることなどが有効です。
にきび
抗菌薬などざ瘡治療薬の外用やビタミン剤、漢方薬、抗生剤の内服を行ないます。にきびができにくいように生活指導も行ないます。
水いぼ(伝染性軟属腫)
除痛のテープを貼ってから摘除します。経過観察する場合もあります。
男性型脱毛症(AGA)
AGAには以下の特徴があります。
- 抜け毛の開始時期が思春期以降
- 額の生え際の後退、頭頂部・前頭部の毛髪が薄くなる
- 毛髪の軟毛化
- 親、兄弟、祖父に脱毛症を認めることが多い
AGAに対し、内服薬を使用します。1日1錠の服用で6ヶ月服用していただき効果判定します。約60%に効果がみられます。自費診療になります。
爪疾患
巻き爪
爪の両脇が強く曲って食い込み、化膿により痛むものです。深爪をさけて、抗生物質を用いて感染を防ぎ症状を抑えます。必要に応じて、皮膚に食い込んだ爪を部分的に除去します。
環境因子による疾患
日光皮膚炎(日焼け)
日光皮膚炎は、紫外線によって引き起こされる皮膚炎で、主な症状には赤み、痛み、腫れ、水ぶくれが含まれます。予防策として、日焼け止めの使用や長時間の日光浴を避けることが重要です。
日光皮膚炎の治療法は、ステロイド外用薬や非ステロイド炎症薬、内服薬を使用します。
やけど
水疱ができた場合はできるだけ破らずに診察を受けてください。損傷を受けた皮膚は感染症にかかりやすいため清潔に保つことが大切です。
しもやけ
治療法は内服薬や外用薬で血流と症状の改善をはかります。
うおのめ
皮膚の圧迫により皮膚の皮(角質)が厚くなり痛みが生じるものです。皮膚をやわらかくする外用剤を用い、削ります。
除去する際は、お気軽に当院へ削りに来てください。
胼胝腫(たこ)
皮膚の角質の増殖が起こって、皮膚の表面が硬くなった状態です。いわゆる「たこ」のことです。摩擦や圧迫が原因で皮膚の表面が固くなります。痛みがあることはほとんどありません。胼胝の治療はうおのめと同様に皮膚を柔らかくする外用剤を使用したり、厚くなった部位をハサミで切除することになります。
角化症
乾癬(かんせん)
慢性炎症皮膚疾患で赤い発疹(紅斑)を認め、かさぶたのような鱗屑がフケのようにボロボロ剥がれ落ちます。ステロイドやビタミンDの外用や光線療法、内服療法、注射療法などがあります。
皮膚腫瘍
アテローム(粉瘤)
皮膚の下に袋状の嚢腫ができ、皮膚の垢や脂がたまることによってできた良性腫瘍です。治療は手術で取り除くことが一般的ですが、感染を起こし化膿した場合は内服治療や切開排膿を行います。
スキンタッグ(首・わきの下等のイボ)
首やわきの下にできる柔らかいイボ(スキンタッグ)は、小さければそのまま電気メスで焼き取り、大きいものは痛み止めの注射をしてから除去します。痛み止めのテープを数時間貼った後に除去する方法もあります。
皮膚繊維腫(ひふせんいしゅ)
皮膚線維腫は、茶色く少しふっくらした良性の腫瘍で、通常は症状がないことが多いです。ただし、衣類に擦れるなどして炎症が起きることもあります。原因は虫刺されや小さな傷、遺伝などが関係するとされています。治療法は外科的切除が一般的です。
皮膚がん
皮膚にできた悪性腫瘍の総称です。代表的なものとして「基底細胞がん」や「有棘細胞がん」、「悪性黒色腫」があります。腫瘍のタイプによって症状は異なりますが、一般的には痛みやしこり、出血が多いです。組織診(がんが疑われる部分を取り出して顕微鏡で確認する検査)によって診断が確定されます。手術や放射線、抗がん剤によって治療し、腫瘍の種類やステージ、患者さんの身体の状態によって効果が最も高い方法が選ばれます。
その他
手荒れ
洗剤などの使用により皮膚のバリア機能が損なわれた結果、外部の刺激に弱くなり、かゆみやひび割れ等が生じたものです。保湿剤、抗生物質軟膏、ステロイドなどの外用剤で症状を緩和しながら、悪化させないための生活上の注意点などを指導します。
掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
手のひらや足の裏に膿疱ができ、かさぶたとなって脱落することを繰り返す病気です。外用薬や漢方薬などで治療します。
アレルギー
花粉症
必要に応じてアレルギー性検査をおこない、抗アレルギー剤の内服と外用剤による治療をおこなっています。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎は、鼻の粘膜が炎症を起こす状態で、鼻水、鼻づまり、くしゃみが主な症状です。通年性(ハウスダスト)と季節性(花粉)の2つのタイプがあります。診断にはプリックテストや血液検査が用いられ、治療法には内服薬、点鼻薬、アレルゲン免疫療法、手術があります。
アレルギー性結膜炎
眼の結膜のアレルギー反応による炎症です。眼の他にも、くしゃみや鼻づまり、鼻水などの症状がでることが多く、花粉症の一症状としても見られます。症状は強いかゆみ、目の充血、目やに、涙目、目の違和感などです。春季カタルの場合はまぶたの裏側が腫れたり、黒目と白目の境が腫れたりすることがあります。診断は診察で行いますが、原因となる花粉を調べるために血液検査を行うこともあります。治療は抗アレルギー薬の点眼薬や、症状が強い場合はステロイド点眼薬を使います。内服での抗ヒスタミン薬を併用することもあります。
漢方薬による治療
下記のような疾患を中心に、漢方薬による治療も取り入れております。
アトピー性皮膚炎、湿疹、イボ、にきび、汗疱
検査について
顕微鏡による皮膚の組織検査、採血、真菌検査(水虫)等、必要に応じて各種検査を行っております。
検査の際には、必ず事前にご説明し、また不必要にお体にご負担をかける検査を行うことはありませんので、ご安心ください。
なお採血検査などのデータは、ご説明のあと、お持ち帰り頂いております。
手術について
皮膚のでき物やアテローマや巻き爪などに対し外来小手術を行なっております。お気軽にご相談ください。